5「荒巻義雄の世界」展 企画の紹介と詳報
A 企画の紹介
「荒巻義雄の世界」展の会期中、会場となった北海道立文学館では、以下の通り、多彩なイベントが開催された。
文芸講演会/シティ・マイスター荒巻の就任演説
「ニュー・ユートピア・シティーへのいざない」
本展が開幕した2月8日、開会式の後に開かれた荒巻による記念講演会。開会式の出席者を中心に約80人が集まった。
実行委員で事務局長の瀬戸正昭の挨拶に続いて、荒巻は、現在執筆中の『ビッグ・ウォーズ』シリーズに登場する都市型宇宙船「ニュー・ユートピア・シティー」の構想を語るとともに、人類文明の将来についても持論を述べ、会場の関心を集めた。(別稿の詳報を参照)
特別展開催記念パネル・ディスカッション「荒巻SFの原点を語る」
2月11日開催。荒巻のほか、巽孝之(司会)、小谷真理、タヤンディエー・ドゥニ、立原透耶、実行委員の三浦祐嗣がパネリストになり、荒巻SFの原点について、本人に話を聞いた(写真5-1)。約80人が集まり、会場はほぼ満員(写真5-2)。一般参加者のほか、宮崎県在住の評論家藤元登四郎、SF作家の笹本祐一、児島冬樹、ミステリー作家の高城高、松本寛大、ファンタジー作家の大森葉音、時代小説作家の浮穴みみら、札幌と近郊に住む多くの作家が姿を見せ、荒巻SFへの関心の高さをうかがわせた。(別稿の詳報を参照)
終了後は会場でサイン会(写真5-3)も開かれ、荒巻が幼少期に通っていた小樽の「ロース幼稚園」の現園長らも駆けつけた。
その後、荒巻をはじめ、実行委員全員、ゲストの作家、SF関係者、報道関係者、道立文学館スタッフら37人が参加して、近くの「キリンビール園」で「打ち上げ会」が開かれた(写真5-4)。参加者は、ジンギスカンとビールで親交を深め、最後に全員で記念撮影した(写真5-5)
対談「SFにおける都市のイメージ」
3月1日開催。三浦の紹介に続いて、荒巻と実行委員の松橋常世の2人(写真5-6)が、SFに出てくる都市と建築のイメージなどについて語り合った。ポナペ島の海上遺跡から未来都市のイメージまで話題は多岐にわたり、話は尽きなかった(写真5-7)
対談に使われた映像は、松橋建築設計室の相山隼也が担当した。(別稿の詳報を参照)
ギャラリー・ツアー「荒巻義雄の世界を語る」
3月15日午後2時から、本展会場で、荒巻自身が入場者に展示の解説を行う「ギャラリー・ツアー」が行われ、荒巻の友人で世界的彫刻家の安田侃氏(写真5-8)をはじめ、約60人が参加した。
荒巻のほか、実行委員の松橋、三浦、中野正一が会場を一巡して説明に当たったが、ほとんど荒巻の独壇場。30分の予定だったツアーは約1時間半にわたって続けられ、参加者は、少年期からの愛読書をはじめ、世界各地への取材旅行の思い出、各地で集めた「ガラクタ」の由来などについての荒巻の解説に熱心に耳を傾けていた(写真5‐9)
ニュー・ユートピア絵画展「あなたがおとなになったとき」
本展開催を記念して、札幌市内の小学生が「未来の世界」をテーマに描いて応募した絵画を、会期中、北海道立文学館1階ロビーに、前期(2月8日~28日)、後期(3月2日~23日)に分けて展示した(写真5-10-1)
また、応募作を荒巻らが審査し、優秀作を選んだ。表彰式は2月22日に同館地下喫茶コーナーで行われ、受賞した小学生と父母約50人が出席。荒巻が1点ずつ講評し、賞状と賞品を贈った(写真5-10-2)